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報告~宮古市重茂地区を訪れて~③

重茂漁協の中へ。

まずは阿保会長が代表し、山形地区からの義援金を手渡します。
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続いて店長からチャリティこけしによってみなさまから預かった義援金の一部を手渡しました。
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その後、被害状況や現在の暮らしの様子などをお聞きしました。

以下、お聞きした状況をまとめます。

(1)支援物資
もう充分届いているとのこと。加入している生協さんや、宮古市も、かなり手厚く保護してくださっているそうで、「地震以前より物資があるかもしれない」ほどとか。生協さんにも、重茂地区の方から、もう大丈夫と止めたそうです。
先ほどお見せしたように、ダンボールに山積みになって行き場のない物資も多いようです。


(2)仮設住宅
重茂地区では406世帯(戸)のうち、約100世帯(戸)が津波により崩壊したといいます。このうち仮設住宅を希望しているのが80世帯ほどで、小学校の校庭など、4ヶ所に仮設住宅を建設していっているそうです。あと1ヶ月ほどで希望者はみな仮設住宅に入れるとか。

仮設住宅は4畳半の部屋が2部屋にバス・トイレ、玄関にキッチンがついたタイプのもの(地区によって違うそうです)が主で、4人までの世帯がそこに入り、4人以上になるとその隣にもう1セットあてがわれるとか。


(3)お金など
実は、漁船や漁業関係のものにはかなり保険などがおりていて、それぞれの世帯にはその保険のお金がしっかりと入っているそうなんです。
しかし、そのことについて、お話を聞いた組合の方は「今お金があると勘違いしないように指導していかなくては」と厳しい顔をされました。

と、いうのも、漁船などに関しては、国や県からも3分の2の補助が出たり、工場などに関しても組合でお金を出すようなのですが、海岸に並べてあった各世帯の倉庫が流されており、漁具がほとんどない状態なのだとか。
この漁具というのが、長い間かけて自分に合う道具にしてきた「お金では買えない価値のもの」なのだそうです。なので、こういった道具をもう一度そろえていくために、保険でおりたお金を使っていかなければいけないため、くれぐれも生活費に当てていかないようにと、指導していかなくてはいけない状況なのだそうです。


(4)漁業について
重茂ではワカメ・昆布の養殖が主でした。しかし、今回の津波で養殖に使う道具なども流されているため、養殖が再開できるまでにはまだしばらくかかるようです。

ですが、今年、天然のワカメの生育が非常に良いらしく、去年(去年は不漁だったようですが)60トンだったものが、今年は現時点で100トンも揚げられており、このまま行くと200トン以上は採れるというのです。

しかし、最近になって重茂漁協の活動がテレビなどで取り上げられるようになったことで、この天然ワカメに注文が殺到し、「困っているんです」と。
実は当館としても、宮古の物産を販売しようかと思っていたので、驚きました。

加工品は、加工場が津波にやられてしまったため、当面は厳しいとのこと。

漁の見通しとしては、秋のアワビの頃から本格的に取り組んでいければ、という状況のようです。


(5)船について
この地区の漁業では、採るものによって船を代えるため、1人2隻の船が必要になるそうです。現在のところ組合員が580人ほどいるそうで、新しく注文しなくてはいけない船が500隻あまりになるそうなのです。国と県からの補助が入るため、すでに注文はしてあるそうなのですが、造船メーカーで間に合っていない状態らしいんです。

(最近の船は1台で20~30年もつため、造船メーカーも不況で1日1台ペースの製造だったらしく、今回の津波で岩手だけでも2000隻もの注文になり、全国から造船のできる大工を募集している状況とか。)

全員分そろうのに2年ほどかかるだろうとのことです。


(6)ボランティア等について
宮古市としての一般ボランエィアの受け入れは、受け入れ態勢が整わないために行っていないのですが、黒石市役所から宮古市役所への人員ボランティアは常時2名交代で来ているようです。
また、黒石からの一般のボランティアも社会福祉協議会同士のやり取りで派遣が始まるようです。

ただ、瓦礫の撤去なども、重機がフルに稼動していて、泥上げなどをしても「出した泥を持っていく場所や手段がない」という状況のようです。なので、人力による復旧作業は今はあまりニーズがないようなのです。

話によると、そういった重機による大掛かりな撤去作業は北の方から進んでいて、今ちょうど宮古のあたりに来ているところのようなのです。

1番始めにお見せした「解体OK」の文字は、内部の撤去作業が済んで、あとは解体されるのを待っている状態のものに、市が印をつけていったもののようで、解体作業が追いついていない、という状況なんです。






正直なところ、「大変なことだらけなんだろうなぁ・・・」とドキドキしながら行った手前、予想以上の復旧の様子に驚いてしまいました。

もちろん大変なことに変わりはありません。

ただ、支援の仕方を本当にしっかりと考えなくてはいけない、ということを痛感しました。




今回お渡しした義援金は重茂漁協を介してこの地区の「教育振興会」というところに行くということです。

現在、この地区の子供達は3校がまとまり、重茂小学校で一緒に勉強しているようです。

なので、遠くの子供達はスクールバスで通っているそう。今回のお金はこのスクールバスの運行や学校の設備費などに充てられるそうです。


たぶん、これが一番今は良い形なのでは?と後からになって思います。


漁業関係の設備の復旧金、とも考えましたが、漁業さんがかなりしっかりしているので、だいぶまかなえそうです。

むしろお金の届きにくい、子供達の成長へのお金、それこそ「海の子山の子交流事業」のような、子供達のこころをケアし、大きくするためのお金に使うことが良いのかな、と。


みなさまはどうお考えでしょうか?
私達の見てきたことを精一杯お伝えしたつもりです。



重茂地区では、海岸近くで家を流された人たちが、同じ集落内に土地を求めているそうです。集落を抜けていく人はほとんどいない、とのこと。


津波が来る場所だからって、その土地を嫌いにはならないんですね。

組合の方が言っていました。
「漁師には漁師しかない」
と。


この地域の人たちがこの地域でずっと暮らしていくために。
子供達が津波に負けずに元気に育っていけるように。



もう一つ、組合の方の言葉です。


「昔にかえっただけです」


港もなかった、便利な道具もなかった、そんな時代に戻ったのだと。





被災地の人々は前向きです。
前に向かって、未来に向かって、ものすごい勢いで進んでいます。


むしろ、本当に危機なのは私達かもしれません。
お客さんが来ない、来ないと嘆いていないで、何か本気で取り組んでいかなくては・・・・・・
私達には支援は来ませんから・・・。


焦ります。



被災地の人々の頑張りに負けてはいけないわけです!




みなさまからの声をお聞きしたいです。
わかりづらいレポートですみませんですが、何かしらお声をいただければ嬉しいです。


長くなってしまいました。
読んでいただいて、ありがとうございました!